ヘルムート・コール(Dr. phil. Helmut Josef Michael  Kohl) 元首相の逝去を悼みます

私が家族とともに初めて渡独したときのことをつぶさに思い出します。丁度、ベルリンの壁崩壊(破壊)の直後でした。当初不可能とされた早期の東西ドイツ統一を、長きにわたって連立を組んだFDP党首でかつ副首相・外相を務めたゲンシャー氏(Hans-Dietrich Genscher)と組んで成し遂げていったことを、目の当たりにしました。

また19901991はサダムフセインのクエート侵攻・湾岸戦争、さらにユーゴスラビア内戦が折り重なって起こった年でもありました。こうした中、指導と運営を過たず導いたコール氏、彼をUnser Kanzler (我らの首相:当時の総選挙におけるCDUの標語でもあった) として強く支持した国民に大きな感慨を覚え、当時の我が国の状況との大きな相異を感じました。他の方から回していただいた日本の衛星版新聞や雑誌等に記されている現地事情の不正確さや的外れ予測の程度の悪さも思い出します。
 
戦後ドイツの幾多の困難に対して、アデナウアー首相以来こうしたレベルの政治家・指導者が与野党問わず存在し、国民が選出してきたことがこの国の幸いであった(細部は色々とありますが・・)と今でも思わざるを得ません。
 
どうしても日本の政治家(屋)達および国民性と比較し、彼我の差を考えてしまいます。結果として覚えるのは悲観に近いものです。「海に囲まれた国土状況」のメリットは、国民の不認識と政治の停滞により、埋め合わせが効かないレベルにすでに達しつつあるものと考えています。