他人事ではない「難民問題」の深刻さ:大晦日夜の婦女暴行            Silvester-Übergriffe auf Frauen

直ぐそばのケルン(駅前~ドーム前!)のみならず、ハンブルクシュトゥットガルト等で、大晦日の夜のお祭り騒ぎの中で婦女子への集団的な性的嫌がらせ・暴行・窃盗が発生しました。今後、ドイツのみならず、EU域内での難民・移民問題に極めて強く影響し(日本国内風に言うと“大きな陰を投げかけ)、方向転換を引き起こす可能性があります。
 
被害女性(含少女)達は、暴行犯罪者達は北アフリカ系やアラブ系であったと述べています。事実とすれば、ことは極めて重大です。現時点では、捜査状況も明らかでない点が多く(暗い監視カメラ映像の解析が難しく時間を要するとも・・)、判明したことの公表にも抑制が掛かっているのかもしれません。こうしたことに手の早いBildは、警察は真実を言うことを禁じられているのか? Wird der Polizei verboten, Wahrheit zu sagen ? とか(難民受け入れに積極的対応の)メルケルは彼女の方針を変えるか?Ändert Merkel
 jetzt ihren Kurs?
との記事を打っています。今後への影響が非常に大きいが故に、現在、連邦および各州政府は念には念を入れている側面もあると思います。
 
それでも、情報は出てきます。Spiegelは独自取材情報も含めて、「容疑者・捜査・結果:ケルンの暴行について現在までに何が分かっているか」との題目の問答方式による客観的で入念な記事(日本とは大違い)を出しており、Stuttgarter Zeitungにも同趣旨の記事があります。
ttp://www.spiegel.de/panorama/justiz/koeln-was-ueber-die-uebergriffe-bekannt-ist-a-1071191.html
 
Spiegelによれば、現時点で身柄拘束されている容疑者31名の出身は8カ国にわたっており、内訳は以下とのことです:アルジェリア (9)、モロッコ (8)、イラン (5)、シリア (4)、ドイツ(2:注)、イラク(1)セルビア (1)、米国 (1)。軽々にはいえませんが、被害者達の申告にも沿うと見え、現在、EU諸国の抱える問題の深刻さが見て取れます。 (注:国内にはすでに多くの移民・不法在留者が暮らしています。)
 
積極的な難民受け入れと措置を表明したメルケル氏も、「国境通過の必要性やドイツ国外追放に関しては、我々が必要なことを全て行ってきたかを常時再検討される必要がある(逐語訳)Es müsse "immer wieder überprüft werden, ob wir, was Ausreisenotwendigkeiten anbelangt oder Ausweisungen aus Deutschland, schon alles getan haben, was notwendig ist".」と表明せざるを得ない状況です。自国民の安全と、今後への危惧を考えれば当然でしょう。

ただでさえ、ギリシャ危機以来、ドイツ国民は「なぜそこまで我々は尽くさねばならないのか?」との感を持ち始め、そこに膨大な難民流入が続いてきたところです。ここで、今回の性的暴力を振るった集団の多数が難民達の中から出てきたものであれば、国民の苛立ちと怒りは格段に昂進するでしょう。我が国の婦女子を性的暴行から守るために、(EU・ドイツの理念を反映した)シェンゲン条約と難民ポリシーとで何をしたら良いのか?との疑念と憤懣も表明されています(Zeit online)。

メルケル氏は正確・慎重にことを見極め、自国民の安全への有効手段をjin迅速・確実に講じなければ、国民の堪忍袋が切れ、政権崩壊を引き起こしかねない状況にあります。どこかの国のように、芸能・スポーツで目先を変えたり誤魔化すことができる国民性では到底ありませんから、ことは非常に深刻と考えられます。 


この経緯を見て思うことは、「日本よ、今回のことは人ごとではありませんよ!」です。目先の安易な人手調達のためや疎かな国境防衛によって、移民や難民が押し寄せてきたら、こうした出来事は普通に生じ得るということです。
 
移民・難民を日本的善意や人道主義的立場から見ようとする方達は、「金融・商売・人の流れ等が“グローバル化“しても、人々の文化・民族性・慣習・善悪判断はグローバル化なんぞまったくしていない」ということを念頭にしみこませるべき、ということです。カプセルに封入されたようなお気楽旅行で見聞き・体験する世界と、異なる文化・民族性・慣習・善悪価値判断の人々と日夜交流・交渉し・競争し・妥協して生きて行かねばならない現実世界とは大きく異なるのです。