北朝鮮の核実験で考えるべきこと (revised)

1.今次核実験に際して考えるべき要点


 日本国民は以下の三点を深く認識すべきと思います。
① 近隣国(中・朝・露)がいずれも反日ないし非友好の核兵器保有国であること。
② 日本に対する「核の傘の差し手」は遠く太平洋の彼方。
③ 他国防衛に多数の自国民を犠牲にする国はあり得ない。
 
2.日本の防衛・安全保障:ドイツとの比較


日本同様の旧敗戦国であり現在は経済強国となっているドイツと比較すると、日本の現況が分かり易くなると思います。


2.1 ドイツの概況
 現在のドイツ連邦は9もの国々に囲まれていますが、その中に、日本の場合の中・朝(+韓)・露に相当するような非友好的な国や独裁国は皆無です。


旧ソ連ワルシャワ条約機構の崩壊と東西統一により、かつては①に類似していた近隣環境を脱しています。さらにユーロ圏の設立以降、そのような環境を各段に向上させているのです。コール政権~現在のメルケル政権までの歴代政権と政府は、こうした環境の実現に心血を注いで来たこと、またドイツ国民自身がそれを望み強く支持してきたことの結果です。


上記②についても、NATOの盟約の下、ドイツは核シェアリングによる「核保有国」です。すなわち、強固な近隣同盟によって核の傘の一部を自ら差している国家であり、安全保障上で強い立場を維持しています(多分、日本人の大半は知らないし考えたこともないのでしょう)。


2.2日本の概況
①と②に関して、我が国はドイツのほぼ真逆の状況にあると言えます。東西冷戦の終結以降は、年を追うごとに防衛・安全保障上の周囲環境が悪化しています。


習政権の強権侵略性に加えて北朝鮮核兵器開発が重なった状況は、悪化のステップが各段に拡大したことを明示しています。首脳同士の「相性と友好」に依拠するような対露交渉の現況や北方領土へのロシア政府の施策を見れば、殆ど「泥棒への追い銭」状態と見えます。


しかしながらwebや帰省時で知る限り、以上のような状況に対して、大半の日本人は認識がなく、関心も低いようです。
 

3.必然的に予期される事態


自国の現況を念頭に置かず、目先の仕事や出来事に専心し(その割合に低い労働生産性)、芸能スポーツによる息抜きと慰めに日夜を過ごしていればその国がどうなって行くか、悲観的な結末が容易に想像できます。


例えば3年後を考えた場合、(中国)尖閣・南西諸島方面に対する領海侵犯から侵略へのステージ進展、(北朝鮮)核ミサイル技術の完成と配備ならびに東アジアにおける日・米・韓の安全保障環境の必然的激変、(ロシア)北方領土におけるミサイル・海軍基地ならびに日本資金・技術の収奪構造の概成が現実化している高い可能性があります。


また、気象変移による自然災害は一層昂進している可能性があります。最弱の部分やリンクの数がほぼ一定なら、毎年の季節変動の中で当該部は破れて顕在化してしまうので、新たな災害の数は年毎に減少していくはずです。しかし、自然災害を被る箇所とその程度は年を追って増していると見えます。これは、気象変位の数と程度が年毎に増していることを意味します


4.今後3年のもつ意味と日本がなすべきこと


以上記したことは、防衛・安全保障と災害抑制のための国土強靱化に早急に本気で取り組むべきことを示しています。真っ当な国民ならそれを国に求め、真っ当な先進国ならその課題に取り組むでしょう。従って、この2~3年間は、将来を見通した防衛・安全保障とそのための憲法改正と法整備、国土強靱化等々にとって鍵となるはずです。


それにも拘わらず、日本人の大半は3年後の国際運動会(オリンピック)を思い浮かべるようですし、マスコミ(東京都と国も)その方向に世論誘導しています。真っ当な国々では、このような愚にもつかない行事に貴重な資金および物質的・人的資源を投じ、蕩尽するのは愚の骨頂と見なされ、国民が許しません。


例えばドイツでは、開催地候補となった都市の住民投票結果により、夏・冬のオリンピック召致候補から下りています。最近でも、ハンガリーブダペストも候補から降りており、その理由は当のブダペスト市民が「オリンピック開催に要する資金は当の国民・住民の安全・健康・生活向上に使用すべき」との意志を示したから、です。


日本においても、当該資金と資源等の全ては、本来、防衛・安全保障、国土の強靱化、そのための科学・技術・産業振興に投ずべきものだった筈です。それを国際運動会に蕩尽することの祟りを一日本人として本気で恐れています。


追記: 国の存立に拘わる防衛・安全保障と自然災害状況の激変を理由に、今からでも遅くないから、オリンピック開催なんぞ取り下げてしまえ! というのが私の意見です。