安全補償の問題は広汎

 普天間関連の記事を見ていると、日本には、安全保障の問題に関わる地域と事象を極力限定的にしてしまおうとする人々および勢力が厳然として存在することを再認識させられます。進行中のことでは、現在・今後の日本にとっての抑止力行使の対象があたかも半島北部のみであるように論じ、本命の中国を外す口蹄疫の問題を宮崎県における農畜産業の災厄とのみ捉え、安全保障にも密接に関わる課題であることを等閑視する、などがその典型例でしょう。
 後者については、農畜産業、関連諸産業、地域社会、国総体の経済、行政・政治および周辺国とその思惑の現在および将来に与える影響を考えると、深刻な問題であることが自ずと見えてきます。つまり、口蹄疫ウイルスは用意に培養・運搬可能であること、伝染性が強い今回のような例で引き起こされる事態と被害、その対処・経緯・予後に当該国の防疫体制および政治的な意志と能力が赤裸々に反映されるということです。
 このような広く深い問題であるが故に、20078月の英国における口蹄疫発生に際しては、就任まもなくで且つ休暇中であったあのブラウン元首相にあっても、発生報告後に直ちに対処(移動禁止措置等の措置で約約1月で終息)したのです。
 極めて悲しく腹立たしいのは、現民主党政権赤松農水相やら鳩山首相やらの無為無策ぶりであり、罪悪的と考えます。また、この問題を国の安全保障の観点から見ようとしない極楽トンボ振りにも呆気にとられます。