日本のマスコミ・TVに頻出する大学(院)教授について (追伸付)

日本の芸能番組や報道(という名のバラエティー)番組に多数の「大学教授(准教授・客員教授・・・も)が出てきて壮観です。しかし、日本の場合は凄まじいと言うしかないほどの玉石混淆で、母国の大半の方々はそれを認識しておられません。このことは、正常な現実判断にも差し障りがあるので、ここで短く説明しておきましょう。あまりに酷いので、多少辛辣なことを記しますが、事実です。謝ナンタラとかいう政治屋が他者への噛み付きやら自己の誤魔化しに「事実」という語を多用したため、この語の意味がすでに変わってしまったかも知れませんが、ここで言う事実はfactの意です。

(1)普通の大学教授(学部課程専任)」:幼少中高校の先生になるにはそれぞれの課程に対応した公的な「教員資格(免許)」が必要です。しかし日本の場合、大学教授(学部専任)になるのに必要な「公的資格や免許」はありません。各大学が定めた(と称する)内部基準に合致すればokです。

芸人・スポーツ屋・新聞記者の類が、然るべき研究歴・実績もなく、一夜にして「大学教授」に化けてTVに出て来るのはこのためです。新聞記者などで、欧米支局(長)の経歴があると、いきなり「国際政治学者」になったりもしますw 

欧州諸国ではまず絶対にあり得ない現象です(米国にはインチキ学位大学があるので???)。日本でも、さすがに今日の国(公)立大では殆どあり得ず(例外は記事末の注参照)、私大で見られる現象です。

皆様の多くはご存じないと思いますが、以上のような「一夜」教授が担当できるのは、学部講義と卒論指導のみです。制度上、この方達は大学院の教育とM/D論文指導に携わることはできません。

日本のテレビによく出てくる学部教授(下記のM合もなし)の中には、イイチャラカンなのが雲霞の如くにいて、尤もらしいことを垂れ流しており、メチャ笑えます。でも、こうしたインチキ教授連中のご高説が母国のマスコミにしょっちゅう出て、大学教授=学識経験者として「世論を(ミス)リード」しているかと思うとゾッとします。

(2)大学院教授:大学院の教員格資について知ることが早道になります。一般に知られていないと思いますが、日本の制度では以下の四種があります。

1.D○合(Dマル合):博士論文の指導、審査、博士課程の講義が行える。
2.D合(D合):博士論文の補助的指導、講義が行える。
3.M○合(Mマル合):修士論文の指導、審査、修士課程の講義が行える。
4.M合:修士論文の補助的指導、講義が行える。

以上は当然、①当該学位を持っていることが前提で、さらに②研究論文と教育実績に一定要件が課されています。大学院の改組・新設や専攻科新設の際は、文科省専門委員会による資格審査が行われます。退職・転出・新任等で教員が入れ替わる場合は、新任教員(客員教員を含む)は同委員会で審査されます。一定年数を経た後は、文科省と同じ基準(とされるが怪しげなところも・・)で各大学院が審査します。私も以上2通りを受けて区分1です。

学部と比較して、大学院では相応のレベル確保が期待されていますが、日本のテレビによく出てくる大学院教授の中にも相当イイチャラカンなのがわんさといます。修士や博士前期を修了し、適当な雑文を「論文」としてリストし、甘い学内審査でM合やM○合なんてのが・・・。
 
(3)我々がネットでできること
皆さん、TVに「大学教授」やら「学者」が出てきたら、ネットで調べましょう!

保有学位は何か、どの大学でどんな研究に対して授与されたか。

・大学/大学院修了の後、研究論文あるいは学術著作(文系)をどれほど出版しているか。文系でも、そこらの週刊誌・月間雑誌・ペラペラ新書/文庫に書き散らしたものは「学術論文とか学術著作=研究」と見なされません!文系は日本語で書けばいいだけなのにね・・(注)

科研費を初めとする外部資金を獲得できているか(「研究」を本当にやっているか否かの指標です)。

・大学院の博士前期<同博士後期で「学位論文の指導教員」に登録されているか。学位はあっても、研究論文(著作)が基準を満たさないと
大学院教員資格を持てません。また、特に国立大では、大学院教員就任後に論文(著作)を出していないと教員資格ランクを下げられたり失ったりします。

以上のことを頭に入れてネットを調べれば、TVに良く出てくる「それらの大学教授やら学者がどういう人達なのか」が簡単に分かります。

例えば、私が帰省帰国時に良くTVで見た造園だか園芸専門とかいう御方は(1)に該当します。また、所属大学で枢要の立場になられたとか言う和服ゾロリでご出場の方は(2)のM合ないしM○合であり、D合以上は無いと判断されることになります。

前者の方は博士前期までの、後者の方は博士後期まである大学院や同専攻科の改組・新設をもし行う場合、「大学院教育を担う教員」として申請する(組み入れる)ことができません。ご専門(?)のみならず、専門外の事象について一見尤もらしい(学識の裏打ちのない)コメントを偉そうに散々垂れ流していらっしゃるのにねwww

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(注)TV等で出てくる教授を含めて、日本の文系(経・法・文)教授連の殆どが国際的にトンと通用しないレベルであることは本業界で良く知られています。一言で言って、「文系大学教員の殆どが欧文(英文が代表例)で論文・著作を書いていない、というか書けないから」です。THE等の世界大学ランキングで、日本の大学が振るわない一原因となっています(日本の大学は文系の研究・教育指標が目立って低い)。

畏友の怒りメールによると、池上某(ツバメ学校の非M合教員だそうで)が、「日本の文学や歴史や経済の研究をを英語で書いてもねえ~」と、日本の文系大学教員が欧文論文・著作を書かないこと(正確には書けないので対外発信できないこと)を擁護したそうですねw つくづく出鱈目な酷い「一夜にして」教授のオッさんです。

近年、日本は理系で多くのノーベル賞を獲得していますが、国内学者の経済学賞は受賞皆無で、今後の望みもない(在外学者・研究者は今後あり得ると期待)のはこのためです。

以下は畏友のメールで教えて貰った小川和久氏の放送ですが、上記の事情を単刀直入に良く言い表しています。
http://podcast.1242.com/sound/9082.mp3

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追伸

「仏教の教えに基づく教育」を標榜する武蔵野大学の長谷川某の件、友人からメールが来たあと色々netで調べました。上記の園芸屋さんと同じですね。無念にも自殺された女性社員をパワハラした上司もこのオッサンと相似形でしょう。その上司の出身学校がどこなのか、非常に興味があります(そっくりな例を相当数知っており、ちょっと驚くほど一定の傾向がありますのでね・・・・)。