「科学技術立国」の空洞化と崩壊

多くの日本人ノーベル賞受賞者の方々が警告されてきた現象が目に見えて「本格化」しつつあります。周囲を客観的かつマクロ的に観察できる国内の理系研究者や大学教員の方達も気付いてらっしゃると思います。


日本における理工学系の学術を担ってきた旧7+1等の国立大の理工系大学院における現況を見ると、予想される将来の先端的な科学研究・技術開発には人的資源の面ですでに暗雲が立ちこめています。優秀な日本人の大学院生の多くが前期(修士)課程修了で就職し、後期(博士)課程への進学者が減少し続けるとともに、院生定員と研究戦力の空隙を中国やインド等からの留学生が埋めているからです。

理工系の国立研も類似状況です。日本人のパーマネント研究者は予算獲得・発議・履行・報告書やら関連委員会に書類処理仕事と欧米ではあり得ないような抹消管理・処理業務(国立大も同様)、さらに1年毎の個人業績評価を念頭に置いた短期的諸作業・行動・処理に追われ、国際学会参加の海外出張で一息つくような状況です。

このような国大・国研の状況で、本業研究に関わる計算・シミュレーション・実験等に熱心に取り組み、より短期的にかつより多くの論文投稿を行ってくれる「戦力」の相当部は中国・インド等からの博士課程院生やポスドクが担っています。こうした所の研究室や実験室に行くと、中国語やらIndiglishと手伝いおばさん達の声ばかりが響き渡っています。帰省して筑波地区に行った際、「ああいうのを Chinese    Institute of ***** Science (and/or Technology) Tsukuba   Branchというんだよな」との揶揄・自嘲を聞かされたことすらあります